除染の基礎知識


汚染された環境で生活し続けなくてはならない場合に、被曝をできるだけ下げるため、生活空間から放射能汚染物質を除去(あるいは隔離)するのが除染作業です。三郷市の場合、汚染の度合いが福島県に比べれば低く、基本的には生活は可能だと考えられますが、特に放射能感受性の強い子どもの無用な被曝を避けるためには生活空間からの除染が必要です。

 

ただし放射能を物理的に消滅させることは不可能なので、汚染物質を集めて保管・移動すること(すなわち本質的には除染ではなくて移染)になります。

 

放射性セシウムは水にとけて流れ、土と一緒に存在する傾向があり、それらの結果、雨どいの下であるとか、排水口とか水が流れて泥のようなものがたまりやすいところに著しく高濃度の汚染が生じることがあります。また場所によっては表土のある程度の面積の処理(剥ぎ取り等)が必要になることもあります。その当面の保管には、耐水性のある袋に入れる、土を十分被覆する、埋めた場所の記録保存、必要な場合には接近禁止表示などの配慮が必要です。

 

また除染作業においていたずらに飛散させたり、呼吸や皮膚からの汚染(将来の内部被曝)を避けることも非常に重要です。マスクやゴム手袋、ゴーグルなどは必需品と言えます。

 

一度除染作業をして放射能レベルが低下しても、月日がたつとまた変化することがありますので、年に2,3回は測定し確認したほうがよいでしょう。


具体的な除染作業


それでは具体的にはどうすればよいか、これまでマニュアルとして公開されているものをあげてみます。

 

環境省 原子力発電所事故による放射性物質対策 (総合リンク)

   http://www.env.go.jp/jishin/rmp.html

 

除染関係ガイドライン

   全体版(平成25年5月第2版) [PDF:7,303KB]

 

放射能除染・回復プロジェクトによる 放射能除染マニュアル(第2版) 

   (2011年8月1日作成 文責:山田國廣)

 除染の位置づけ等、よく考えられているマニュアル。「放射性物質を土壌、水、大気中に拡散させないで、可能な限り汚染場所から剥ぎ取る。」という基本的な考え方で、高圧洗浄等周辺への拡散をまねきやすい処理に警鐘を鳴らしている。ただしこのマニュアルに従うと手軽にというわけにはいかない。

 

福島市除染マニュアル(第2版)  画像付の説明書なので感覚的に理解しやすい。1m深さの穴を掘って袋に入れた汚染物を仮置きするという。ただし、除染作業による内部被曝の防止については注意が十分払われてるとはい言い難い。「第1版(平成23年9月27日)策定以降市実施してまいりました除染の検証結果に基づき 改訂したものです。 また、本マニュアルは 比較的空間線量が高い地域 (0.99 μSv/時以上) の施設等を面的に除染すること前提したものであり、それ以下地域は、空間線量率の程度に応じ必要な措置を選択し、 除染することになります。」という注釈がある。

 

いわき市放射線量低減のための除染マニュアル(第一版)

いわき市放射線量低減のための除染マニュアル別冊(第一版)

 

2冊の構成で、作業について具体的な基準や作業が示されている。地面の除染については1m四方で中央と4隅の5箇所の測定で平均値が0.3マイクロシーベルトを超えると除染するものとし(この基準は高い)、表土は5㎝剥離、地中保管を行う。遮水シートでくるみ、60cm 覆土。

 

放射性物質の除染と汚染廃棄物処理の課題

除染関連の各種の問題やこれまでの除染に関する政府方針の変遷等時系列でまとめてある詳しい資料