福島県の甲状腺検査縮小問題 まとめ記事はこれ


2017年を通して、福島県の甲状腺検査縮小問題がくすぶっていました。下記の2017年12月6日衆議院議員会館での院内学習会でも環境省はそれを否定しましたが、個々の「専門家」の発言としては声が大きくなりつつあります。確かに表向き方針の変更は打ち出されていませんが、水面下で何かが進行しているのではと疑われます。

この問題をまとめたネット記事としては少し古いですが(2017年1月2日投稿)下記が参考になります。

「福島県民健康調査で甲状腺がん・疑い183人に ~甲状腺がん子ども基金-福島県外では重症例も」

https://foejapan.wordpress.com/2017/01/02/health/


小児甲状腺がんで手術した患者へのアンケート結果


NPO法人 3・11甲状腺がん子ども基金(代表理事 崎山比早子氏)ではこれまで基金の給付を受けた患者に対してアンケートを実施した結果を2017年12月22日付で公表しました。すべての回答者から検査体制の強化・継続を望む声が寄せられたそうです。

 http://www.311kikin.org/wp-311kikin/wp-content/uploads/2017/12/2017questionnaire-thyroid-ultrasound.pdf


院内学習会「多発する子どもの甲状腺がん -福島県民健康調査はこのままで良いのか」に参加して



2017年12月6日(水)12時~13時30分、日本弁護士連合会の主催による標記学習会が衆議院第一議員会館大会議室で開催されました。その模様を報告します。

 

 最初に寺原朋裕氏(環境省大臣官房環境保健部放射線健康管理担当参事官室参事官補佐)から「環境省の取り組みについて」という題目で福島県民健康調査について経過と判定結果等の事実経過が詳しく報告されました。

 

  次に井戸謙一弁護士(日弁連 東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部委員)から「福島県民健康調査甲状腺検査の経過と問題点」という講演があり、結論として次の2点を述べられました。

(1)県民健康調査の目的を達するためには、縮小でなく、拡充すべきである。

(2)小児甲状腺がん患者を網羅的に把握し、そのデータを研究者や市民が利用できるシステムが必要【いまの県民健康調査は検査まで。その後の手術は、通常診療。摘出臓器に基づく検査等は研究者の個人の研究との位置づけ。データが公表されない。】

⇒国が主体となり、被ばく者の登録制度を作ってデータを集中し、公表するシステムを作るしかない。

 

3人目に 話題提供された崎山比早子氏(特定非営利活動法人 3.11甲状腺がん子ども基金代表理事)は「子ども基金の活動から見えてきた問題点と解決策」という題目で、甲状腺がんの手術を経験して3.11甲状腺がん子ども基金の給付金に申請された方々へのアンケート結果をふまえて結論を次のようにまとめられました。

・甲状腺がんの原因となる放射性ヨウ素は福島県以外も汚染したので甲状腺検査は他県でも実施すべき

・甲状腺がんの多発を「放射線の影響とは考えにくい」或いは「過剰診断」というまえに「他県でも福島と同様に調べなければ結論できないという至極もっともな意見が複数みられた

・過剰診断との考えに対する反発が強い

・甲状腺検査の拡充・継続を望む声が大部分である

・大部分の患者が現在、及び将来にわたる健康不安を抱えており保障を望んでいる。

⇒検診を拡充し、放射性プルームが通過した地域住民に健康手帳を配布し生涯にわたる保障を行うべきである。

 

このように、縮小が取りざたされている小児甲状腺がんの検診も逆に強化していく必要性があるとの指摘がなされました。

その他参加された衆参両院の国会議員数名からも連帯の挨拶がありました。

 


福島第一事故による健康影響の基本問題


岡山大学の津田敏秀教授は「100 mSv以下の被曝ではがんはでない、出たとしても認識できない」という認識を基本とした専門家の言動や政府の施策を憂えて、被ばくによる健康影響についての世界の認識はどうなっているのかを説き、それと違う世界を構築している日本の将来に警鐘を鳴らしています。内容を原典にもどって理解するのは大変ですが、問題の整理が非常にわかりやすい解説ですので重要な文献と思われます。pdfファイルがインターネットで無料ダウンロードできます。

 

学術の動向 Vol. 22 (2017) No. 4 p. 4_19から27まで

津田敏秀「福島県でのリスクコミュニケーションと健康対策の欠如─医学的根拠に基づいた放射線の人体影響とは」

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/22/4/22_4_19/_pdf